米シアトルの公園清掃で性的少数者支援団体が標的化を告発

この画像はイメージであり、記事内容とは直接関係ありません,画像出典:Brett Sayles(Pexels)

2026年10月22日より、米ワシントン州シアトル市の「統合ケアチーム(UCT)」に所属する職員らが地元警察を伴い、市内の伝統的な性的少数者地区の中心に位置するキャル・アンダーソン公園において野営地の強制撤去(スイープ)を開始した。これに対し、日頃から同公園で困窮者支援を行っている草の根団体「トランス・インターセックス相互扶助ネットワーク(MANTIS)」が猛反発を示した。独立系メディア『スルー・ザ・スタティック』の取材に応じた同団体のエル・クリー氏は、今回の行政執行がトランスジェンダー当事者のコミュニティや相互扶助組織を意図的に狙い撃ちにしたものであるとして厳しく抗議した。

現場における行政側の対応を巡り、手続き上の違法性を指摘する声が高まっている。クリー氏の証言によると、現場責任者を務めるケアチームのカリーム・ジェンキンス氏は、市職員が1日に最大4回公園を訪れて撤去を繰り返すと通告したという。さらに、退去を拒む無住所者の私有物について質問した際、収集車が待機する中で「荷物は単にゴミとして破棄する」と発言したとされ、私物の適正保管を定めた市の規定に明白に違反している疑いが浮上した。また、同氏は「シェルターを提供する義務はない」と主張したとされるが、これは撤去に際して必ず代替宿泊施設を斡旋しなければならないとする市の正式な運用指針と真っ向から矛盾している。

さらに、現場の法執行が特定の場所のみを恣意的に標的としていた実態も明らかになっている。クリー氏の指摘によれば、公園内のサッカー場沿いにも複数のテントが並んでいたにもかかわらず、警察と市職員はそれらを無視し、ポンプ小屋近くの「キティ・パーチ」と呼ばれる一角のみを集中的に撤去対象とした。この区域は夜間にトランス当事者が集い連帯を深める重要な拠点であり、命を落とした性的少数者を悼む追悼碑が設置された象徴的な安全空間でもある。支援団体は、他所の野営地を放置して当事者らの精神的拠点を狙い撃ちにした措置は、環境整備の名を借りた露骨な差別的排除であると糾弾している。

都市政策および人権保障の観点から分析すると、キャル・アンダーソン公園で発生した摩擦は、米西海岸の主要都市が抱える住宅困窮問題と公共空間管理の深刻な法秩序の歪みを露呈させている。人道的支援を名分とするケアチームが、適法な住居案内を伴わない高圧的な実力行使へと傾斜することは、社会的弱者の基本的人権や財産権を著しく侵害する行為に他ならない。市民社会や法曹関係者はシアトル市当局に対し、現場における職員の違法な言動について徹底的な内部調査を実施し、適正手続きの遵守と少数者の尊厳を守る行政規範の再徹底を求めている。

ノースアメリカ編集部:リアム・スミス

出典:『スルー・ザ・スタティック(TtS)』の調査報道を総合

資料出典

シアトル市統合ケアチーム公式ポータル

シアトル市公園管理局公共スペース運用ガイドライン

シアトル市法典(公共空間および資産管理条例)