俳優・モデルとして世界的な注目を集めるトランスジェンダー女性のハンター・シェイファー氏が、ドラマ『ユーフォリア』で共演したゼンデイヤ氏とトム・ホランド氏の結婚式に出席するためロンドンを訪問した際、ファッション誌『エル』のロングインタビューに応じた。同氏はインタビューの中で自身の精神的境地を率直に明かし、クィアであることの魅力を「可能性、拡張、そして自己の探求と成長」と表現し、抽象的な思想と現実社会での生き方の間にある葛藤を深く掘り下げた。
自身の性自認の変遷について、シェイファー氏は長年にわたりジェンダーの流動的な広がりを受け入れてきた歩みを振り返りつつ、現在の自身のあり方はより確固たる領域に着地したと語った。現在の自分を「女性」であり「女の子」であると簡潔に定義した上で、理想としてのクィア哲学と現実の生活環境との間に存在する緊張関係と向き合ってきた過程を述懐。以前の身体にも特有の強さや格好良さを見出そうと試みたものの、思い描いていた理想郷と日々の生活実感との乖離を感じたことが、新たな認識へと向かう契機となったと説明した。
さらに同氏は、昨年12月に性別適合手術(ボトムサージェリー)を受けた事実を初めて公表し、その選択が自身にとって極めて前向きで素晴らしい結果をもたらしたと満足感を示した。医療的移行のあり方は当事者ごとに多様であると前置きした上で、身体の移行を進めたことは自らにとって完全に正しい判断であったと強調。術後の療養期には厳しい歩行制限を受けながらも、家族や親しい友人らの温かい支援と静かな思索の時間を経て、自己の身体と精神の調和を深めた経緯を明かした。
現在、シェイファー氏はキャリア史上最大の注目作となるアマゾンの大型SFドラマ『ブレードランナー2099』のプロモーションを展開しており、アカデミー賞女優のミシェル・ヨー氏と並び主役を務める。絶滅の危機に瀕した人類社会を舞台に、レプリカントの捜査官を装う人間という複雑な難役に挑む同氏の歩みは、『ユーフォリア』や『ハンガー・ゲーム』前日譚を経てさらなる高みに到達しており、ハリウッドの第一線における性的少数者の可視化と表現の可能性を力強く牽引している。
ノースアメリカ編集部:リアム・スミス
