
画像出典:missbouvee(Instagram投稿のスクリーンショット)
2026年10月、米フロリダ州を拠点に活動するドラァグクイーンのミス・ブーヴェ(本名エリック・スワンソン)は、州当局の指示により撤去されたマイアミビーチの虹色横断歩道の敷設レンガを販売し、2万5000ドル(約380万円)を超える支援基金を集めた。集まった寄付金は、大企業の協賛を得ることが難しいフロリダ州南部の地方都市であるネイプルズやキーウェストで開催されるプライド催事に全額寄付され、現場の安全確保や舞台設営に充てられる。
問題の横断歩道は2025年10月、路面標示に関する規制強化に伴い撤去され、黒いアスファルトへと再舗装されていた。米CBSニュースによると、取り外された資材の一部は市内の歩行者空間の整備に回された一方、残余のレンガが公的競売にかけられた。スワンソン氏はこの競売でレンガを落札し、自ら洗浄して再塗装を施した上で、かつて設置されていた場所を記録した記念プレートを取り付けて販売したところ、わずか4日間で50個が完売する大きな反響を呼んだ。
地元紙マイアミ・ニュー・タイムズの取材に対し、ミス・ブーヴェは性的少数者の権利獲得運動においてレンガが歴史的に抵抗の象徴としての意味を持ってきたことに言及した。得られた収益は、参加者の安全を守る警備費や野外ステージの設営費として活用される予定であり、同氏は行政による圧力が高まる中でも、パフォーマーや市民が創造的な手法を駆使して地域の平権催事を守り抜く重要性を訴えた。
この撤去措置の背景には、フロリダ州および連邦政府による一連の行政規制が存在する。フロリダ州のロン・デサンティス知事は2025年6月、交通安全に直接寄与しない非標準的な路面標示の撤去を州運輸省(FDOT)に命じる法案に署名した。さらに連邦運輸省のショーン・ダフィ長官もこれに追随し、道路標示の全国的な画一化を指示、虹色の横断歩道を公道から排除する方針を明確にした。行政によって排除された記念資材を自立的な支援基盤へと転換した今回の試みは、公権力による多様性排除に対抗する草の根の粘り強い実践として注目されている。
ノースアメリカ編集部:リアム・スミス
出典:『マイアミ・ニュー・タイムズ』紙およびCBSニュース報道を総合
資料出典
