白黒の横断歩道と虹色のプライド横断歩道の比較

図の出典:ジョシュ・ヘルフゴット

2026年10月上旬、米マサチューセッツ州のスワンプスコットにおいて、夜間11時に町の作業員が虹色のプライド横断歩道を白黒の通常標示に塗り替える作業を実施した。町当局はこの舗装作業を「定期的な維持補修」と説明したが、資金を寄付した住民や地域社会に対する事前告知が一切行われていなかったことから、町内全域で驚きと反発の声が広がっている。

地元紙「スワンプスコット・タイズ」の報道によると、町内にはこれまで10か所のプライド横断歩道が設置されていた。2025年には住民のピーター・スペリオス氏とレベッカ・スペリオス氏の夫妻が約8000ドルを私財から寄付し、そのうち9か所の再塗装費用を負担していた。スペリオス氏は取材に対し、深夜の塗り替え作業について町から事前の通知や協議は全くなかったと述べ、当惑をあらわにした。

抗議の声を受け、町当局は10月9日に声明を発表し、虹色の塗装は通常の道路維持計画の枠外で寄付によって施工されたものであり、今回の白黒化は定例の補修作業の一環であると釈明した。さらに、この作業は性的少数者の住民を歓迎し支援するという町の確固たる姿勢に変更を迫るものではないと強調した。しかし、住民の間では納得は広がっておらず、住民のアニャ・マザリス氏らはボストンの地元放送局に対し、地域社会の意見を聞かずに決定されたことに落胆を示した。これを受け、一部の住民は行政への風刺として、修繕が放置されている道路の窪みや歩道のひび割れにチョークで虹を描く抗議活動を展開している。

分析によれば、今回の事態は地方自治体における多様性の象徴と連邦政府の交通安全規制との間で生じている摩擦を反映したものとみられている。米連邦運輸省はこれまで、交通安全基準を理由に道路上の非標準的な装飾標示を撤去するよう求めており、テキサス州やフロリダ州などで先行して白黒への塗り替えが進められていた。スワンプスコット当局は連邦指針の影響について明言していないものの、公共空間における性的少数者の可視化を巡る行政と市民社会のせめぎ合いは今後も続く見通しである。

ノースアメリカ編集部:リアム・スミス